理論的な本編のお話を始める前に、そもそも音楽理論というものが何なのかについて語ります。
よく勘違いされている方がいらっしゃいますので、そこのところを明確にできればと思います。
- 音楽理論とは、音楽を理論的に説明したもの、ひいてはそれらの総称
言葉のまんまですが、成り立ちを軽く説明しておきます。
そもそも、音楽というものが形作られてきた時代に、音楽を作っている人たちは気づいたことがあります。
「ある音と、別の音を同時に鳴らしたときに、気持ちのいい組み合わせと、そうでない組み合わせがあるのはなぜか」
なので、とりあえずその組み合わせをまとめました。さらに「ある音と、別の音を経時的に連続して鳴らしていくと気持ちのいい(略)」という法則もあったのでまとめました。
これらをぜーんぶまとめていった結果の延長にあるのが音楽理論です。
そのため、音楽理論はこう言い換えることができます。
「気持ちのいい音楽の法則一覧」
- 音楽理論 = 音楽の作り方 ではない
理論を学べば、良い音楽を作れるわけではありません。
おそらくガッチガチに理論のみで作れば、なんとなく恰好が整ったものは作れるようにはなるでしょう。ですがそれが限度です。
聴覚ではなく視覚、つまり絵で言うならば、理論だけで作れるものは「写真」だと思ってください。それを「芸術的な写真」にするのも、「絵画」にするのも「ポップアート」にするのも、別次元のお話です。基礎は基礎でしかありません。
ではなぜ音楽理論なんてものが必要で、それを熱心に勉強する人が居るのか。
- 音楽の作り方のひな型である
前段を読んでいただければ当然お分かりいただけると思いますが、音楽理論を用いることで、楽曲の基礎的な部分が構成できます。必ずしもそれが良いものか、用途における最適解なのかは別問題ですが。
- 楽曲を発展させる手掛かりになる
同じように、ある程度完成された楽曲の中で、それを変化させるための候補となりえます。どのような選択肢が存在するかがわかれば、表現力も上げることができます。
- 楽曲を理解するための手掛かりになる
個人的にはこれが一番大事な部分だと思います。
音楽理論を用いることで、他人の作った曲が「どうして良い音楽なのか」を理解することができるようになります。
- まとめ
以上の事柄を一言でごく簡潔にまとめるとこのようになります。
音楽理論とは、音楽の参考書である
繰り返しますが、決して「教科書」ではありません。参考書としての側面のほうが、より有用かと思います。
- 最後に
「俺のロックなミュージックは、魂とフィーリングのみで構成されているから、理論なんて必要ない」
という方が相当昔から今でも、大変多く見受けられます。
ですが、ほとんどの大成したミュージシャンは、少なからず理論的な部分を意識した音楽を作っています。
稀に本当にアカデミックな部分を一切通過せずに、名曲を残す人も居ないわけではありませんが、そういった人たちは、「過去の偉人を通じて理論的な部分を引き継いで」いるだけにすぎません。あなたの魂やフィーリングというやつもそういった類のものではないですかね?
なお、さらにごくごくごく稀に理論的な勉強もしない、他人の曲にも全く興味がない、という希少な人が居ます。そういう方は「天才」と呼ばれますので、参考になりません。
というわけで、ロックなフィーリングでソウルなビートがバーニングなあなたも、少しは勉強してみることを強くお勧めします。